弱視(ロービジョン)の方が学習や作業をする際に利用される拡大読書器。本や書類などをカメラで写しながら、モニターに文字を高倍率で拡大表示する装置です。図書館でご覧になった方も多いのではないでしょうか。
据え置き型や携帯型などいろいろなタイプがあり、読書用だけでなく外の景色など遠くを見たりできる拡大読書器もあります。活字資料をOCRでスキャンし音声で読み上げることもできる音声拡大読書器は、全盲の方も利用できます。
今日ご紹介するのは、ゴーグル眼鏡型の拡大読書器ともいえる製品です。視力障害だけでなく、視野障害の方にも使用できる可能性があります。
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ロービジョンの方のためのデジタル眼鏡「eSight」
カナダの eSight社が開発したデジタル眼鏡。高精細ビデオカメラおよび有機ELスクリーンが搭載されているゴーグル眼鏡と、映像を拡大したり白黒反転処理するコントローラーがセットになっています。
コントローラーには、ズーム、コントラスト、明るさ、フォーカス調整などのツマミがあって、一般的な拡大読書器とほぼ同じ機能を持っています。
動画はこちら。1:00経過あたりから、コントローラーの各ツマミを操作するとどんな風に見えるかの説明があります。
動画の 1:55あたりでは、視線の角度を変える機能を説明しているようですが、最初どういうことか分からず、もう少し調べてみたら次のような動画がありました。
視野欠損の弱視者もサポート
eSightがない時とある時の見え方の違いを示した動画です。
若年性黄斑変性症(シュタルガルト病)を患っている Hugh Montgomeryさんには、視野の真ん中の "見たいもの" が黒い影に隠れて見えないという中心暗点の症状があります。
eSightを着用すると、多少映像が荒いものの視野の中心部も見えるようになるそうです。メーカーサイトを見てみると、次のような技術的説明がありました。
The headset is mounted on carrier frames, which enable eSight’s proprietary “bioptic tilt”, a feature that allows the user to shift between viewing modes and engage their peripheral vision.
(引用元:Our Eyewear | eSight(リンク切れ))
直訳は難しいのですが、要するに、
網膜への投影角度を調整して、視野の中心部にある映像を、欠損していない周辺視野の網膜に集めて見えるようにしているようです。
中心暗点の症状がある方は、偏心視といって視線の方向を少しずらしてモノを見る訓練をされることがありますが、これと似たような方法かもしれませんね。
- Source:
- eSight: Eyewear That Brings Vision To People With Legal Blindness | Assistive Technology Blog
(Top photo courtesy of Pixabay)