3Dプリントで視覚障がい従業員のポカミス防止

部品工場での作業風景

アメリカの3Dエンジニアリング会社 Graphics SystemsのWebサイトに、視覚障がい者の就労に3Dプリンターが役立ったというユーザー事例が紹介されていました。

コストと時間がかかるためなかなか実現できなかったことが、3Dプリントなら簡単にできるという話です。

目次


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事例:NPO法人 Beyond Vision

アメリカ・ウィスコンシン州にあるNPO法人「Beyond Vision」。視覚障がい者に持続可能な雇用機会を提供している団体です。機械加工・組み立て・梱包・コンタクトセンターなどの分野で実績があり、1903年創業と100年以上の歴史を持っています。

Beyond Visionでは 3Dプリンターを使って、ポカヨケ治具(じぐ)を作ったり、モノのイメージをつかむために模型を作ったりして、視覚障がい者の就労に役立てているそうです。

ポカヨケ治具

Graphics Systemsサイトでユーザー事例(※リンク修正)ページの右下下部にある 2つの動画。

"See how a 3D printed switch assembly is used " とタイトルのある動画に出てくる、黄色い治具が3Dプリンターで製作されたものです。スイッチ部品の組み立て時にポカヨケのために使っています。

目が不自由でも感触だけで部品を組み立てることはできるでしょうが、生産性向上が求められる現場では慎重にゆっくり作業できないことがあります。しかも急ぐあまりにミスをおかすと、ますます時間がかかってしまいます。

こんな時にポカヨケ治具があれば、部品の向きや埋め込み先を間違えずに済みます。感触だけでは分かりにくい微妙に形が似ている部品があっても、ポカヨケ治具に従えば正確に早く組み立てられるでしょう。力を入れてカチッとはめ込む場合も、誤って部品を折ってしまう心配がありません。

治具自体は健常者も使うことがあり珍しいものではありませんが、製作コストがかかるので全ての現場にあるとは限りません。3Dプリンターなら安く製作することができるので、視覚障がいだけでなく他の障がい者を雇用している工場でも活用されているかもしれませんね。

モノのイメージをつかむための模型

言葉だけではモノのイメージが伝わらないことがあるのではないでしょうか。こういう時に触地図などの立体模型があれば、耳からだけでなく触ることでより具体的にイメージできます。

ユーザー事例の "See an example of a 3D printed exit strategy" の動画は、オフィスの平面模型を使って非常出口を説明しているところ。出口の場所だけでなく距離もイメージでき、視覚障がい者も事前に避難経路を頭に叩き込むことができます。

一昔前なら障がい者には厳しいと言われていた職業も、3Dプリントなどの技術で就労が可能になってきました。職業の選択の幅がもっと広がるよう、技術の発展と同時に、職場の配慮も期待したいですね。

Source:
Beyond Vision 3D prints blind-friendly fixtures to accommodate visually impaired employees | 3ders.org

(Top photo courtesy of Pixabay)

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