Androidには TalkBack、iOSなら VoiceOverというスクリーンリーダー(音声読み上げ機能)が標準で搭載されています。画面上で指を滑らせていくと、その場所を読み上げてくれるので、全盲の方も凸凹のないタッチパネルを操作できます。
しかし、指先で探るのに時間がかかったりするので、ガラケーの方がいいと言う人は相変わらず多いです。慣れの問題もあるでしょうが、音声フィードバックだけを頼りにしている人にはスマホの画面はゴチャゴチャしていると言えるかもしれません。
海外製品ですが、視覚障がい者が使いやすいように設計されたスマートフォンが登場したので、参考までにご紹介します。らくらくスマートフォンよりも、かなりシンプルなインターフェースです。
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ミニマルかつ直感的なインターフェースの「BlindShell」
チェコはプラハの Matapo社が開発した Androidスマートフォン用スクリーンリーダー。サムスンの Galaxy端末にプリインストールされた形での提供となっています。
スクリーンリーダーだけでなく、アプリケーションも全て独自開発のものになっていて、ミニマルなユーザーインターフェースで統一されています。
用意されているアプリケーションは「電話」「SMS」「アラーム」「ノート」「ボイスレコーダー」「カレンダー」「電子書籍リーダー」「紙幣認識」「色認識」「拡大鏡」など。視覚障がい者にとって必要不可欠なアプリのみ取り揃えたという感じです。
また通常のホーム画面はなく、スライドショーのように画面を1つずつ呼び出してアプリを起動させるようです。
操作方法
BlindShellの基本的な操作方法は次の通り。直感的なタッチジェスチャーになっています。
- 画面の右端または左端をタップで、次のメニュー項目/前のメニュー項目へ
- ロングタップで、選択する/電話を受ける/アラームを止める
- 2本指のタップで、スクリーンリーダーを停止/音声情報を繰り返す/着信情報を得る
- 2本指のロングタップで、1つ前に戻る/アラームをスヌーズにする
- タッチしたまま別の指でN回タップで、目的のキーのN番目を実行
- 画面の下から上へスワイプで、現在のステータス情報を読み上げ
N回タップは、AndroidやiOSのスプリットタップに似ているかもしれません。例えば "c" という文字を打ち込みたいときは、キーボードのキー[2(abc)]のところへ指を滑らせ、タッチしたまま別の指で3回タップとなります。ガラケーの文字入力と同じ要領ですね。
動画はこちら。デモの様子は1:00~2:00の間あたりです。
BlindShellは視覚障がい者だけでなく、「シンプルなスマートフォンが欲しい」という高齢者にも使える製品ですね。GPS歩行ナビなど新しいアプリをどんどん試したいという人には向かないですが、必要最小限のアプリで構わないという人にはお勧めだと思います。
(Top photo courtesy of Pixabay)