意外と思われるかもしれませんが、ブラジルはパラリンピック強豪国の一つなんですね。
国別メダルランキングでも、2008年の北京大会9位、2012年ロンドン大会7位と常に上位をキープ。今回のリオパラリンピックでは5位を目標にしているようです。
当然ながら、金メダル候補のブラジル選手はいっぱいいます。その中でも前回のロンドン・パラリンピックで印象に残ったある選手に注目してみたいと思います。
目次
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陸上女子短距離(視覚障害)テレジーニャ・ギリェルミーナ
まずは、前回ロンドン・パラリンピックの「陸上競技 女子100m(T11)決勝」をご覧ください。心に残るシーンの一つです。
「T11」の"T"は走競技・跳躍競技を意味し、数字の"11"は全盲の視覚障がい者クラスを表しています。
スタート前から、キラキラのアイマスクにチャーミングなツインテールというファッションで注目を浴びたのが、テレジーニャ・ギリェルミーナ(Terezinha Guilhermina)選手。網膜色素変性症による視覚障がいです。
おしゃれを楽しむ視覚障がいアスリートが登場した印象的なシーンでした。
単なる目立ちたがりとは違い、実力もダントツ。大きなスライドで他の選手をぐんぐんと引き離し、2位とは0秒7の大差をつけての金メダルでした。このときに記録した 12秒01は現在も世界記録です。
また、ロンドン大会では「女子200m(T11)」も金メダルおよびパラリンピック記録を打ち立てています。
200mでは、ポニーテールに赤茶系のアイマスクという出で立ち。アイマスクはたくさん持っているようです。
T11クラスでの競技ルール
T11クラスでは必ず「ガイド」という伴走者がつきます。そのために選手とガイドの2人分のレーンが必要になり、トラックが8レーンあっても競技は4走者ずつ行われます。
決勝が4選手しかいなかったのは、そのためなんですね。エントリーが少なかったからではありません。リオの100メートル(T11)も予選、準決勝、決勝と複数回レースがあります。
弱視のT12,13クラスは目隠しは必要ないのですが、T11はアイマスクなどを着用しなければならないというルールもあります。
ガイドランナーに関しては、引っ張ったりなどのペースメーカー的な行為をしない限り選手より先行して走っても構わないが、フィニッシュラインは選手が先に越えないと失格になります。また、ゴール直前10メートルを除き、常にガイドロープでつながっていないとだめです。
ガイドランナーの人選も重要
ガイドランナーは誰でも相手が務まるというわけではありません。選手との相性はもちろん、信頼関係も無視できないものがあります。パラリンピックや世界陸上ではガイドランナーも表彰台に立ってメダルをもらえるくらい、重要な役割です。
テレジーニャ・ギリェルミナのガイドランナーは、100mも200mも Guilherme SOARES de SANTANAさんが伴走していました。
日産のCM撮りなのか何なのかはわからないのですが、ウサイン・ボルトがガイドランナーなんてのもありました。
テレジーニャ・ギリェルミナ選手、リオパラリンピックの活躍は?
テレジーニャ・ギリェルミナ選手は 1978年10月生まれの現在 37才。短距離の世界では決して若いとは言えません。
女子100m(T11)の IPC世界ランキングは 2015年は 1位でしたが、2016年は現時点 5位となっています。中国やブラジルの比較的若い選手が台頭してきています。
リオパラリンピックでの金メダルは微妙なところですが、ぜひ決勝に進んでメダルをとってもらいたいですね。そして、2020年の東京パラリンピックも走る姿を見てみたいと思っています。
追記:リオパラリンピック 陸上女子100m(T11)
追記:リオパラ 女子100m(T11)準決勝結果
(2016年9月10日 1:30に追記)
いや~、ちょっと大変なことになってしまいました。
IPC(国際パラリンピック委員会)によるライブストリーミング配信を見ていると、ちょうど日本の中西麻耶や髙桑早生が出ていた女子走り幅跳び(T44)と並行して、女子100m(T11)準決勝が行われていました。
Rio 2016 Paralympic Games | Athletics Day 2 | LIVE – YouTube
現地時間でいうと、10:00に陸上競技2日目が始まり、10:45ごろに女子走り幅跳び、11:40ごろに女子100mがスタートしています。
女子100mの準決勝結果は、1組目に出た中国の Liu Cuiqingがなんと 11秒96とギリェルミナ選手が持っていた記録を破る世界新記録。
そして、2組目で英の Libby Cleggが 11秒91でまたまた世界新記録。ただし、これはガイドに引っ張られて走っているということで失格となった模様。
Elsewhere, sprinter Libby Clegg set a new world record of 11.91 seconds in the T11 100m semi-finals but was later disqualified for being pulled by her guide, Chris Clarke, in the middle of the race.
出典:BBC Sport
結果、決勝進出は中国の2選手とギリェルミナ選手含むブラジルの2選手の計4人となりました。
女子100m(視覚障害T11) 準決勝結果 | リオパラリンピック特設サイト
ロンドンのときのガイドだった SOARES de SANTANAさんは、今回は別のブラジル選手の相手を務めているみたいですね。
決勝は、日本時間の9月10日6時50分ごろです。
追記:リオパラ 女子100m(T11)準決勝結果その2
(2016年9月10日 2:05に追記)
どうやら、英チームの抗議が認められた模様。英の Libby Clegg選手の世界新記録が復活しました。
決勝進出者は、中国の2選手と英Libby Clegg選手、そしてブラジルのテレジニャ・ギリェルミナ選手です。
女子100m(視覚障害T11) 準決勝結果 | リオパラリンピック特設サイト
追記:リオパラ 女子100m(T11)決勝結果
(2016年9月10日 9:30に追記)
Libby Cleggの失格取り消しが釈然としないなかで行われた、女子100m(T11)決勝。
テレジーニャ・ギレルミナ選手は4位、メダル獲得なりませんでした。
(詳細不明だが ガイドが選手を押したり引っ張るような行為があったということで、記録は"失格")
金メダルは英 Libby Clegg選手でした。
女子100m(視覚障害T11) 決勝結果 | リオパラリンピック特設サイト
残念な結果ですが、200m、400m、400mリレーに期待しましょう。
Rio 2016 Paralympic Games | Athletics Day 2 | LIVE – YouTube
(動画冒頭から1時間25分経過あたりに、100m決勝の模様があります)
(Top photo courtesy of Pixabay)