パラ競泳の視覚障害クラスでは、ターンやフィニッシュが近づくとコーチが長い棒を使って選手の頭や背中を叩く場面を目にします。
目の不自由な選手がプールの壁に激突して怪我しないよう合図を送っているわけですが、この棒のことを「タッピング棒」と呼んでいます。
タッピング棒については特に規定はなく、日本ではグラスファイバーの釣り竿にウレタン素材の丸いタップ部分をくっつけた手作りのものが多く使われているそうです。棒の長さや先端部の大きさも選手や泳ぐ種目によって異なっています。
また、タッピングする場所も日本の選手だと頭、海外だと背中が多いそうです。背泳ぎだと額という非常に狭い場所になるので、「タッパー」と呼ばれる人が正確にタイミングよく叩けるかどうかも、選手の力泳と同様、パラ競泳の見ものの一つと言えるかもしれません。
(参考)
意外なタッピング棒の正体 | CHALLENGERS.TV
スポンサーリンク
視覚障害スイマー用Bluetoothスイムキャップ「Samsung Blind Cap」
一方で、タッピング棒で叩く代わりに、Bluetoothワイヤレス技術を使って選手に振動で合図を送るという試みがあります。
サムスン電子がスペイン・パラリンピック委員会と共同でプロトタイプを開発しています。
スマートウォッチ Gear S2 またはスマートフォン Galaxy S7の「Blind Cap」AndroidアプリとスイムキャップをBluetoothで接続し、ターンのときにコーチがアプリのボタンをタップして合図を送ると、選手のスイムキャップ内につけられた振動モーターが作動するというシンプルな仕組みです。
また、ターンやフィニッシュのタイミングを伝えるだけでなく、ラップタイムを記録することだってできます。
ティーザー(予告)動画はこちら。字幕はスペイン語、音声は音楽のみです。
もう少し具体的な内容は、YouTubeサイトで見られます。(スペイン語音声の英語字幕つき)
Blind Capは、練習環境のみなのか本番競技での利用も想定しているのかはわかりませんが、なかなか良いアイデアだなと思いました。
側頭部にも振動モーターを取り付ければ、選手が間違えて隣のレーンに入ってしまった時も合図を送ることができそうですね。
ただ、Bluetoothの電波は水の中は通りにくいはずなので、背泳ぎのときは前頭部に受信器を取り付けないと反応しないかもしれません。個人メドレーだと前頭部と後頭部の両方につけることになるでしょうか。
- Source:
Blind Cap | Samsung(リンク切れ)- Samsung’s Blind Cap vibrates when Paralympic swimmers need to flip | Wareable
(Top photo courtesy of Pixabay)