英語と違って日本語の自動点訳は100%じゃないという話

タイプライター

米国の盲ろう者向け電話リレーサービスはオペレーターが書き取った相手のメッセージを点字ディスプレイで読むことができますが、日本では通訳に点字がわかる人が必要かもしれません。

テキストを点字に変換する自動点訳が、英語はほぼ100%の精度なのに対し日本語は若干落ちるからです。

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漢字仮名交じり文の自動点訳の手順

自動点訳ソフトによって多少異なりますが、処理の流れとしては次のような感じです。

私は京都へ行った。
  ↓ 分かち書き
私は/京都へ/行った。
  ↓ 仮名変換
ワタシハ/キョウトヘ/イッタ。
  ↓ 点字表記変換
ワタシワ■キョートエ■イッタ。
  ↓ 点字変換
⠄⠕⠳⠄⠀⠈⠪⠒⠞⠋⠀⠃⠂⠕⠲

実際には文の前後にも1~2個のスペースが入ります。

分かち書き

漢点字もありますが、一般の点字は仮名をベースにしています。漢字仮名交じり文を仮名だらけにすると読みにくいので、文節ごとに分けていきます。

分かち書きする時、文章全体から判断しなければならないこともあります。

自動点訳で難しいのが、例えば「男の子」。
「男の/子」だと"a boy"でなく、違う意味になってしまいます。

英語など他の言語は、語の区切りにスペースが入っているのでそういう問題はありません。

仮名変換

読みがなをつける処理ですが、上の例では「行った」が「おこなった」と誤変換されてしまうこともあります。

人名などの固有名詞も思った通りに仮名変換されないかもしれません。

漢数字も難しいですね。点字では数量を表すものは数字で書きますが、「一人前」が「一人前の人間」なのか「1人前の料理」なのか。

点字表記変換

点字のルールにしたがって変換する処理。

点字は発音どおりに表記するので、「京都へ」は「キョートエ」となります。

区切り部分は"マス空け"と呼ばれるスペースを入れ、文の終わりや段落の始めは2マス空けにします。

点字変換

仮名を点字の文字コードへ。

数字や英単語が混じっているのであれば、"数符"や"外国語引用符"のように特殊な点字を直前や前後に挿入します。

また、単語の途中で改行しないようにし、文の終わりの2マスの空きがないときも次の行に語を移します。

自動点訳時に必ず手動修正

たいていの自動点訳ソフトは、分かち書き・かな変換・点字表記変換を一纏めでやり、点字変換の前に途中結果を画面に表示しています。

ここで誤りがあれば修正し、点字変換後も再度チェック。

変換精度ですが、市販の自動点訳ソフトでさえ 80~90%ぐらいだそうです。

翻訳ソフトと同じで、多少の変換ミスは良しとするか、点字を知っている人に修正してもらって100%の完成度にするかは、文書によってケースバイケースになります。

もし日本でも電話リレーサービスで点訳を行うとなった場合、正確な通訳を利用者から求められると思いますがいかがでしょうか。

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(Top photo courtesy of Pixabay)

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