私の知り合いに全盲の人がいます。彼は出勤してくるときは白杖と一緒ですが、オフィスの中では基本手ぶら。事務室を出てトイレへ向かうときも、所々で壁に手を触れながら白杖無しで廊下をスタスタと歩いていきます。
ただ、たまに宅配の人の台車が廊下に置かれたりすると躓くことがあるみたいで、勝手知ったる場所でもいつも安全とは限らないようです。
こんな時に、今日ご紹介するデバイスがあれば便利かなと思いました。
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視覚障がい者の歩行支援デバイス「Live Braille」
インドのスタートアップ企業が開発した、視覚障がい者の歩行移動を支援するウェアラブルデバイスです。第一弾の製品「Live Braille Mini」が 2016年7月より全世界向けに出荷されます。
デバイスのサイズが 65x25x30mm、重さは 29グラムと軽量。超音波センサーと触覚フィードバック・モジュールが組み込まれていて、これを指に装着することで視覚障がい者も周りの障害物にぶつからずに歩けるようになるというものです。
超音波センサーとは、送信ユニットより超音波を発信し、その反射波を受信ユニットで受けることにより、対象物の有無や対象物までの距離を検出するセンサーです。自然界では、コウモリが超音波を出しながら真っ暗な洞窟の中でもぶつからずに飛び回ったりエサを捕まえたりしていますが、これと似た原理ですね。
そして、超音波センサーで検出した対象物までの距離や位置を震動のパターンによって視覚障がい者に伝えます。TouchSense® という米イマージョン社の触覚フィードバック技術を利用していて、対象物が近づくと震動が速くなるなど多様な触覚パターンを出力しているので、慣れるとどこに障害物があるか感じ取れるようになるそうです。
ちなみに Live Braille Miniの場合、超音波センサーが届く範囲は 3.5メートル/1.5メートルと 2つのモードに切り替えられるようになっています。屋内など障害物が多そうな場所では近距離モードという使い方でしょうか。
動画はインタビュー中心なので 16分と長尺ですが、冒頭 2分の間にちらちらとデモの様子が見られます。よろしければどうぞ。行きたい方向に超音波を発信させる必要があるので、指の背を前方に向けながら歩いています。
以前、当ブログでご紹介した「BuzzClip」はネクタイピンのようにシャツに取り付け超音波で障害物を検知していましたが、「Live Braille Mini」のほうが震動パターンが細かく設定されているのかもしれませんね。だから指にじかに装着する必要があるのでしょう。
ただ、Live Brailleを着けていても足元の段差や駅のホームの端などは分からないかもしれません。街中を歩くときは、やはり「スマート電子白杖®」のように白杖も携帯したほうが安全なような気がします。
- Source:
- Live Braille Mini
- Live Braille: A startup, a wearable and a new future for the visually impaired | digit.in
(Top photo courtesy of Pixabay)