昔、障がい者向けのパソコン教室のボランティアをやっていた時。
教室の外で車いすの女の子がポツンとしていたので、訳を聞くと「スロープを登れなかった」らしい。
確かに、登るときは後ろへ逆走しないよう、力を込めながらハンドリムを素早く何度も握り変える必要があり、非力な人には難しそうです。
このように、手の力の弱い人や筋緊張の強い人は手動車いすをこぐのは困難で、介助用車いすに乗る高齢者も少なくありません。
新製品というわけではないですが、たまたまレバー駆動式の車いすを再度見つけたのでご紹介。レバー駆動式の車いすなら自力でこげる人も増えるでしょう。
目次
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レバー駆動式の車いすホイール「Wijit」
Wijit Lever-Drive & Braking System Features | Innovations Health(リンク切れ)
通常の手動車いすに取り付け可能な、レバー(棒)付きのホイール。レバーを前へ倒すと車輪が回るので、ボートのオールのように押したり引いたりすることで車いすを進めることができます。
回転するときは片方のレバーを止めながら、もう片方のレバーだけで動かす。ブレーキは脇を締めるように内側へ倒すやり方です。ハンドグリップの先端にはシフトレバーが付いていて、ドライブ/ニュートラル/バックの切り替えができるようになっています。
ギヤ比は 1:2。ボルトやナットを回す時にレンチを使えば少ない力で済むように、レバー駆動システムは手の力が弱い方も使えそうです。登り坂での逆走もありません。
脳性まひの女性が使っているシーンはこちらの動画。この方のような症状だと普通は電動車いすになりそうですが、自力で車いすをこいでいます。
※(2017/10/16 追記)動画リンク切れ
他にもある、レバー駆動式の車いす
レバーハンドルは、こぐのが楽なだけでなく、手が汚れないというメリットもあります。他にもレバー駆動式の車いすがあるので、気になったものをいくつかピックアップしてみました。
「NuDrive」
Push Your Boundaries – NuDrive – Nu-Drive
車いすのハンドリムに取り付けて使うアダプター製品です。
操作方法は Wijitとほぼ同じようですが、バックの時はレバーを使わずに通常のハンドリムを回します。車いすバスケなどで見られるような"ピボットターン" や"押し引き同時ターン"、すなわち小回りするために片方の車輪を後ろへ引くような時もハンドリムでの操作になります。
「Mountain Trike」「MT Evo」
Mountain Trike – The All Terrain Wheelchair Company
こちらはアダプターでなく、車いす製品です。アウトドア仕様のためか、前輪が主輪で、やや小さな後輪が1つ付いているという構造になっています。
自走式車いす製品が2種類あって、自転車のブレーキレバーみたいなものが付いているのが「Mountain Trike」、電車のブレーキハンドルのように握力の弱い人でも使えるようにしているのが「MT Evo」です。
エアサスペンションも付いていて、森や林の中など凸凹の多い道も乗り心地が良さそうです。
手動レバー式車いす駆動装置「e-arm(イーアーム)」
手動レバー式車いす駆動装置イーアーム | 小さな力で人の心と身体を豊かに…
国産のアダプター製品です。
手動レバー式車いす駆動装置e-armは、自走式車いすの車輪に取付けて、ハンドリム径より長いレバーを操作することにより、ハンドリム式よりも少ない身体負荷(50%程度の小さな力)での移動が可能です。
操作方法は Wijitとほぼ同じようで、前進/後退もレバーグリップ先端の押しボタンで操作が行えるようになっています。
「Hand Drive」
17歳の学生さんが 3Dプリンターで製作したアダプター作品。オープンソースで公開されているので、作り方もサイトに詳しく載っています。実際に高齢の方が試用している動画もあります。
Hand Driveは現在、2015年 Hackaday ベストプロダクト・コンテストのファイナリストに残っていて、グランプリに選ばれるかどうか気になるところです。
- Source:
Elina Gets Her Wings – Wijits Give Girl Independence | YouTube(リンク切れ)
(Top photo courtesy of Pixabay)