色の見え方が一般色覚の人と異なる色弱者。
「黒板の赤チョークの文字が見にくい」「色分けだけのグラフが読めない」と困りごとがいろいろあります。LEDの信号機が見づらいということもありました。しかし、視力障害や視野障害と違って、色弱者はどういうわけか身体障害者手帳の対象になっていません。
シカゴ現代美術館が色覚補正メガネを無料貸与しているという話題があったので、「色弱」についてちょっと調べ直してみました。
目次
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色弱とは?
ヒトの網膜には錐体と呼ばれる色覚に関する視細胞が何百万個とあり、長波長(黄緑~赤)の光に反応する赤錐体、中波長(緑~橙)に反応する緑錐体、短波長(紫~青)に反応する青錐体の3種類に分けられます。そして、それぞれの錐体からの光情報を分析して、脳で色を知覚しています。
虹の色でいえば、上から順に赤錐体、緑錐体、青錐体が主に反応することになりますね。
色弱者の場合は、赤錐体・緑錐体・青錐体のどれかが無かったり、分光感度がずれているために「赤と緑の区別がつかない」「全体的にくすんで見える」といった見え方になるそうです。
(参考)色覚型と特徴 – CUDO official [リンク修正]
感音性難聴のことを「チューニングのずれたラジオで聞いているようなもの」とよく表現しますが、色弱は「赤・緑・青の3つのカラー調節ツマミが合っていないために画面の色が違って見えるようなもの」と言えるかもしれません。
色弱者のためのメガネ「EnChroma」
EnChroma社が塗料メーカーValspar社と共同で開発した色覚補正メガネ。シカゴ現代美術館では来館者に無料貸与しています。
EnChroma社の Technologyページによると、レンズに入ってくる可視光線のうち水色や黄緑などの特定の波長をカットすることによって、赤や緑をより鮮やかに見えるようにしているそうです。
一般のメガネは視力に合わせて作りますが、EnChromaのレンズは色覚レベルに関係なく1つのみになっています。色弱者の8割に効果があるそうですが、例えば緑錐体がない人は見え方があまり変わらないかもしれません。
Valspar社による「Color for All」キャンペーンのプロモーション動画がこちら。(日本語字幕付きです!)
色盲、色弱、色覚障害、色覚異常 etc.
色弱に対する理解が十分でないからでしょうか。さまざまな言葉があって混乱しますね。
英語は「Colorblind」ですが、「色盲」という言葉は減ってきていますし、「色覚異常」は色覚に"正常""異常"はないという考え方からすると違和感を覚えます。
NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構は、次のように呼称を提唱されています。
割合が最も多いC型を「一般色覚」と呼び、C型色覚以外を色の配慮の不十分な社会における弱者として「色・弱者(しきじゃくしゃ)」と呼んでいます。
(引用元)色覚の呼称 – CUDO official [リンク修正]
「色弱者」という呼称は当事者からも"差別感が少なくて良い"という意見です。当ブログも「色弱」または「色弱者」という言葉を使っていくことにします。
(Top photo courtesy of Pixabay)