知的障がい児や発達障がい児がノートに字を書くところを観察していると、字の大きさや位置がバラバラになる、線が歪む、斜めや曲線がなかなか書けない、どこまで線を引っ張ればいいのか迷っているといった様子が見られます。
「書字」という行為には、脳機能の中で関わっていない箇所がないと思われるほど、広範囲にわたって脳を同時に大きく使っています。
(引用元:書字と脳 | ゼブラ株式会社)
確かに字を書くという行為には、文字の形や筆順を思い浮かべるだけでなく、書く位置やバランスを決める、目の動く方向に鉛筆を手で動かすといった、文字認識・空間認識・視覚認知・運筆などいろいろな脳機能が必要になってきます。したがって障害のためにこれらの脳機能が弱いと、うまく字が書けず悩まされることになります。
今日ご紹介するのは、書字が苦手な障がい児も飽きずに楽しみながら繰り返し学習ができ、しかも「目と手の協応」能力を発達させてくれるアプリです。
目次
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楽しみながら文字を書く学習ソフト「InterActive ABC book」
セルビアの COPRIX media社が開発したスペル学習ソフト。いろいろな形のアルファベットを正しい筆順でなぞったりすることで文字がうまく書けるようになる、電子黒板やタブレット対応のインタラクティブなアプリです。
元々は就学前や小学校の子どもたちのためのソフトですが、特別支援学級でも活用されていて、このときの動画がこちら。
このアプリを使用すると、障害を抱えている生徒も集中力とモチベーションを持ち続けることができたと言っています。
富士通「K-12 特別支援 キッズタッチ」
上の動画には字をなぞるだけでなく、直線に沿ってキャラクターを動かすのもあります。
これを見たとき、富士通の「K-12 特別支援 キッズタッチ」シリーズを思い出しました。一時期リリースが止まっていましたが、わりと昔からあるWindows知育学習ソフトです。
キッズタッチシリーズにはいくつかのアプリがありますが、その中の「いろんなせん かけるかな?」は、多様な線を描かせて運筆能力を高めてくれるというものです。
線をなぞらせてみると、横線はうまくいくのに、ジグザグ線や曲線になると大きくはみ出してしまう子どもがいます。
このアプリでは、遊びながらいろいろな線をなぞる練習を行うことで目と手の協応能力を高め、"鉛筆で紙に文字を書く"ことにつなげてくれます。
近年は iPadアプリにも同じようなコンセプトのものがどんどん出てきました。やはり知育学習アプリはタブレットと相性が良いようです。
(Top photo courtesy of Pixabay)