道交法ではNGだけど白杖なしで歩けるベスト「Eyeronman」「SASB」

ベストを着ている人

雨の日に荷物を持ちながら傘をさすとなると、白杖(はくじょう)は不便です。知り合いの全盲の人は、そんな時はデイパックとレインコートという出で立ちです。

また白杖は足元の障害物はわかりますが、頭の位置にあるもの、例えば木の枝や吊り看板はわかりません。ワゴン車の後部ハッチバックが開いているところへ、ぶつかって怪我をしたという話も聞きます。「スマート電子白杖」という製品なら、超音波センサーにより足元だけでなく正面や上方の障害物も検知してくれます。

今回は、白杖を使わずに、センサーを組み込んだベストを着るだけで道を歩けるという話題を2つご紹介したいと思います。

目次


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「Eyeronman」

アメリカのTactile Navigation Tools社が2014年に事業を始めたスマートベスト。

ベストには高度なセンサーやエミッターが組み込まれていて、ライダー(レーザー光線を使ったリモートセンシング技術)、超音波、赤外線によって障害物を検知しています。

ライダーは自動運転にも使われている技術です。コウモリが暗闇の中でも飛び回れるのは超音波を出しているから。そして、マムシが暗いところでも獲物を捉えることができるのは赤外線で熱感知するからだそうです。

Eyeronmanは障害物を検知すると、ベストと一緒に着ているTシャツから触覚フィードバックを感じるようになっています。例えば、右側の足元に障害物があった場合はTシャツの右下に、左側のやや高い位置の場合は左の中程あたりにと。また前方だけでなく360度方向検知できるそうです。

視覚障がい者だけでなく、消防士や警察官が煙の中や暗い夜に活動するときにも使えます。ビジネス的にはこちらがメインかもしれませんね。

(Eyeronmanの説明は動画の2分経過あたり)

「Smart Assist System for Blind People (SASB)」

パレスチナ人の学生が研究開発しているスマートベスト。

ベストに組み込まれている地上センサーにより前方の障害物を音声や振動で伝えるというものです。音声はベストにつながっているヘッドホンから伝えられます。また、バッテリー不足になるとアラームが鳴り、省エネモードになります。

※(2015/7/6追記)動画はSource記事よりご覧ください。

日本では白杖携行は義務

なお日本では道交法により、全盲とそれに準ずる人は道路を通行するとき白杖を携行するか盲導犬を連れなければならないとなっています。視覚障がい者自身の安全のためと同時に、周囲の人への注意喚起の意味もあるからです。

もしスマートベストの着用が認められても、コートの下にベストでは周囲の人にはわからないので、視覚障がい者であることの目印として白杖は持ってないとダメかもしれませんね。

Source:
Tactile Navigation Tools | Next Generation Assistive Technology(※リンク修正)
Palestinian students design vest to help the blind navigate | Reuters

(Top photo courtesy of Pixabay)

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