想像以上にエキサイティング!「リオパラリンピック卓球ハイライト10選」

卓球のラケット

2016年9月7日から18日まで開催されたリオデジャネイロ・パラリンピック。いろいろなハイライト動画が国際パラリンピック委員会(IPC)によってYouTubeに公開されています。

今日はその中から「卓球ハイライト10選」を紹介します。

4分の短編ながら、スーパープレーや話題を集めた選手たちの映像が次々と流れて、なかなか見応えがありますよ。

目次


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パラ卓球のルールやクラス分けはどうなっているの?

ルール

ルールは一般の卓球とほぼ同じ。

ただし、トスが難しい選手は一度自分のコートにボールを落としてからサーブを打つのは認められています。

また、車いすクラスでは、サーブした球が相手コートのサイドラインを横切った場合はレット(ノーカウント)、球を打つときにお尻を浮かすのは禁止、など特別なルールがあります。

ダブルスの試合では、車いすクラスは交互に打たなくてもよい代わりに、センターラインの延長線を越えて車いすがはみ出した場合は相手ポイントとなります。

クラス分け

パラリンピックで行われる卓球のクラス分けは、
クラス1~5:車いすの肢体不自由の競技者
クラス6~10:立位の肢体不自由の競技者
クラス11:知的障がいの競技者となっています。
それぞれ数字が小さいほど、卓球をするうえでの障害が重度な人になります。

車いすクラスは、ラケットハンド(ラケットを持つ手)の障害の程度や座位バランスの良し悪し、フリーハンド(ラケットを持たない手)で車いすを自在に操れるかどうかなどによって区分けされます。

立位競技者のクラス分けは、ラケットハンドやフリーハンド、そして下肢などの障害の程度を見て決めています。

リオパラリンピックでの試合方式

シングルス、団体戦とも 1試合は 5ゲームマッチで、3ゲーム先取したものが勝ち。

団体戦は、第1試合ダブルス、第2試合シングルス、第3試合シングルスが行われ 2試合先取したチームが勝ちです。

リオパラリンピック 卓球ハイライト 10選

動画「Table tennis highlights – Rio 2016 Paralympic Games」(4’09)

国際パラリンピック委員会(IPC)がセレクトした卓球ハイライト集。リオデジャネイロ大会の期間中、連日ライブストリーミング配信していた映像の中から、会場を沸かせたもの、世界の注目を集めたものを中心にピックアップして編集されています。

1. 気迫のダイビングショット

ケリー・ファン・ゾン(Kelly Van Zon, 29, オランダ)選手。

ハイライト映像は、女子シングルス(クラス7)1次リーグA組、トルコのクブラ・コルクット(Kubra Korkut, 22)との試合より。

ゾンが左のサイドライン近くに構えているのを見て、コルクットが右のサイドラインを切るようにクロスに打つ。決まったと思って雄叫びをあげたコルクット。

しかし、ゾンは球を見送ることなく、ラケットハンドを思い切り伸ばしながらダイビング!
打ち返した球はぎりぎり相手コートに入って、ゾンのポイントとなりました。

これには、コルクットも目を丸くしてビックリ。今度はゾンがラケットを振り回しながら雄叫びをあげます。

女子シングルス(クラス7)1次リーグA組 NED vs TUR – YouTube (35’43)

この二人、決勝戦でも再び顔合わせし、ゾンが金メダル、コルクットが銀メダルを獲得しています。

女子シングルス(クラス7)決勝 NED vs TUR – YouTube (19’52)

2. 両腕のない卓球選手がパラリンピック・デビュー!

イブラヒム・ハマト(Ibrahim Hamadtou, 43, エジプト)選手。

ラケットを口にくわえ、右足は裸足という出で立ち。足の指でボールをつかんでトスを高く上げ、口元近くにきたところで頭を激しく振ってサーブを打つ。

この独特のプレースタイルに世界中の注目を集めたのが、イブラヒム・ハマト選手です。

手でラケットを振るのと変わらないぐらいのスピードある打球で、ストレートやクロスの打ち分けも見せてくれています。

ハマト選手は10歳のときに列車事故にあって両腕を切断。13歳ごろに卓球を再開し、脇にラケットをはさむなど試行錯誤しながら、今のプレースタイルを確立します。

2013年のアフリカ卓球選手権で準優勝するなど国際大会で実績を上げ、リオパラリンピックで念願の初出場を果たしました。

残念ながら1次リーグは 0-3 (5-11, 7-11, 5-11)、0-3 (4-11, 6-11, 4-11)と連敗して敗退。けれども、今大会随一の"記憶に残るプレーヤー"と称されるようになりました。

男子シングルス(クラス6)1次リーグD組 GER vs EGY – YouTube (19’29)

3. 元五輪選手がパラリンピック初出場で金メダル

サンドラ・パオビッチ(Sandra Paovic, 33, クロアチア)選手。

女子シングルス(クラス6)決勝戦より。

優勝したサンドラ・パオビッチは、2008年の北京オリンピックに出場したことのある元五輪選手。2009年、自動車事故に遭って脊髄損傷になり、その後4年近くラケットを握ることがなかったそうです。

パラリンピック初出場となった今大会。決勝戦の模様を見てみても、パオビッチ選手は両足をほとんど動かせず、時には卓球台に手をついて体勢を立て直すこともある状態です。

それでも、スピードのある打球を左右に散らしながらポイントを重ね、見事 3-0(11-2, 11-7, 11-4)で勝利。満面の笑顔を見せました。

女子シングルス(クラス6)決勝 CRO vs GER – YouTube (21’19)

4. 車いす卓球の壮絶なラリー

馮攀峰(Feng Panfeng, 26, 中国)選手 vs
トーマス・シュミットベルガー(Thomas Schmidberger, 24, ドイツ)選手

緩急をつけたり左右前後に球を送りながら 29回もの打ち合いを演じた二人。

男子団体(クラス3)決勝、第2試合シングルスでのひとコマです。

この団体戦の結果は、第1試合のダブルスではドイツが先勝するも、第2と第3試合のシングルスでは負けを喫し、中国が逆転で金メダルを獲りました。

フェンとシュミットベルガーは常にライバル関係にあるようで、今大会でも男子シングルス(クラス3)の決勝で対戦しています。

男子シングルス(クラス3)決勝 GER vs CHN – YouTube (34’59)

5. イエローカードを掲げた審判にハグ

ウィル・ベイリー(Will Bayley, 28, イギリス)選手。

男子シングルス(クラス7)決勝で地元ブラジル選手を破り、卓球台の上に乗って勝利をアピール。

しかし、この行為に対し主審はイエローカードを掲げます。

卓球台から降りる時にこれに気づいたベイリー選手、バツが悪かったのか、なんと審判をハグ。

けれども、抱きつかれた女性主審は憮然とした表情のままでした。

6. 史上最年少の男子金メダリスト

ローレンス・ドゥヴォス(Laurens Devos, 16, ベルギー)選手。

男子シングルス(クラス9)より。2000年8月生まれの16歳が史上最年少の男子パラ卓球チャンピオンになりました。

パラリンピック初出場ながら、1次リーグから決勝までの5試合すべて 3-0 と1ゲームも落とさずの優勝です。

男子シングルス(クラス9)決勝 NED vs BEL – YouTube (24″01)

7. 女子シングルスのレジェンド 4連覇達成!

ナタリア・パルティカ(Natalia Partyka, 27, ポーランド)選手。

女子シングルス(クラス10)より。

先天性右肘下欠損のパルティカ選手。7歳の時に卓球を始め、パラリンピックは2000年のシドニー大会が初出場。当時11歳で史上最年少のパラリンピアンでした。

2004年のアテネ大会では15歳で史上最年少のチャンピオンになり、その後も北京、ロンドン、そして今回のリオデジャネイロでも金メダルを獲得して 4連覇達成です。

今大会は女子団体(クラス6-10)でも優勝し、卓球競技では珍しく個人と団体 2種目で金メダルを獲得しています。

パルティカは五輪のダブルスにも出場している超有名選手です。リオ五輪では福原愛&伊藤美誠ペアとも対戦しました。

8. 元ITTFワールドツアー選手がパラで金!

ヴィクトル・ディドゥフ(Viktor Didukh, 29, ウクライナ)選手。

男子団体(クラス6-8)決勝より。

第2試合のシングルスで優勝が決まり喜びを爆発させているのは、ウクライナのヴィクトル・ディドゥフ選手。

ディドゥフは元々はITTF(国際卓球連盟)ワールドツアーの選手でしたが、2008年にガンと診断されて左下肢を切断します。

パラリンピック初出場の今大会。団体決勝はスウェーデンと対戦し、第1試合ダブルスは (5-11, 11-9, 11-6, 5-11, 11-7)のフルゲーム、第2試合シングルスも (11-5, 14-12, 11-9)と苦しみながらも接戦を制し、見事金メダルを勝ち取りました。

9. フィリピン卓球初のメダリスト

ジョセフィン・メディナ(Josephine Medina, 46, フィリピン)選手。

女子シングルス(クラス8)の 3位決定戦で勝ち、悲願のメダルを獲得しました。

フィリピンにとって、パラリンピックの卓球は初めてのメダル。また、2000年のパワーリフティング選手についで、16年ぶり2つ目のメダルです。

ポリオによる運動麻痺のある選手で、卓球台のセンターライン付近をほとんど動かずに立ちながら返球していきます。

ハイライトの映像は、女子シングルス(クラス8)1次リーグB組より。ノルウェーのダーレン(Aida Husic Dahlen, 25)選手とはフルゲームの好勝負となりました。

女子シングルス(クラス8)1次リーグB組 NOR vs PHI – YouTube (45’08)

10. 激しいスマッシュのラリー

中国(MaLin / Lian Hao) vs スペイン(Jose Manuel Ruiz Reyes / Jorge Cardona Marquez)

男子団体(クラス9-10)決勝、第1試合ダブルスより。

激しいスマッシュとレシーブの応酬が圧巻でした。

団体戦の結果は、第1試合が 3-2(11-6, 9-11, 11-6, 8-11, 11-7)で中国が接戦を制し、第2試合シングルスは落とすも、第3試合シングルスで勝って中国チームが金メダルを獲りました。

最後に

パラリンピックの卓球競技に出場できるのは、世界ランキング上位者など国際大会で実績のある選手だけなので、どの試合も実力伯仲で熱い戦いを見せてくれています。

パラ卓球ってほんと全然地味じゃないですね。

(Top photo courtesy of Pixabay)

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